空き家を探す

2023年08月20日
ぽんぽこ仮面

思いがけず人が集う雲南


7月某日、ぽんぽこ仮面は松江市の七類港にいた。
島根県の離島、隠岐の島町から戻ってきたのだ。
 
私は島の人に大きなクーラーバッグを持たされ、帰宅した。
大量の釣れたてのイカが入っている。
透明に透き通ったイカと家の畑になる野菜たちの姿を見ていると、私の中には沸々と湧き上がる思いがあった。
 
「これはもう誰が何と言おうとバーベキューをせねばならん」
 
猛烈で奇天烈な使命感に駆られた。
神でもなく、仏でもなく、単なる我輩の脳内のお告げである。
 

「せっかくなのだ、うちだけで楽しむのも勿体ない」
 
数日間の離島暮らしで浮世離れしている我輩にはそんな思いさえ沸き立つ。
はてさて、誰を呼ぼう。
今日の今日お誘いして、「我こそはバーベキューの神の化身なり」と馳せ参じてくれようとするヘンテコな人はおらんだろうか。
はたまた、「さすがに今日は…」とお断りを受けたらと考えようものなら、顔が畑のトマトの如く赤く沸騰して、恥ずかちい思いを募らせることになる。
いやはや、困ったものである。
 
仕方ない。
ぽんぽこ家族だけでやるしかなかろうか。
「本日、ぽんぽこ亭のお庭にてバーベキュー開催!飛込み参加ご自由にどうぞ!」
とだけ、なけなしの勇気を振り絞ってインスタのストーリー投稿しておいた。
 
するとどうだろうか。
あの“猪肉番長”からDMが来るではないか。
 
「猪肉持って馳せ参じるぞ~」
 
我輩、飛んで喜んだ。
それはもう大山をも飛び越えるかの如く、心だけは舞い上がった。
私の美少女のような心をもお見通しか、なおも猪肉番長からのDMは続く。
 
「ご夫婦2人ともう1名誘ったぞ~」
 
猪肉番長、天才であり奇才である。
私は喜びの舞を踊りながら、バーベキューの準備をした。
 
夕暮れ時、炭が良い塩梅になってきたころ、
ぞろぞろと人が集まってきた。
気がつけば、6人での大宴会である。
みんな移住者だった。
 

畑でとれた野菜は美味いし、
持ち寄ってくれた猪肉は美味いし、
隠岐の島町のイカも美味い。
何より、人とお話をしながら食らうメシは美味いものである。
 
インスタで1投稿しただけでこれだけの人が集う、
雲南というまちは凄いところだなあと実感するものである。
人との繋がりが濃く近い。
人との繋がりが人と町に活気を与えている。
 
都市部には人は多くいる。
しかし、住人同士での繋がりと関わり合いは希薄である。
雲南には人は多くないかもしれないが、
都市部にはない人と人との繋がりと関わり合いが濃く存在している。
 


【ライター紹介】
ぽんぽこ仮面。京都府与謝野町出身、9年間東京で過ごした後に雲南市へ。
お風呂すき。サウナすき。キャンプすき。
毎日わくわくした大人でいたい教育業界の人。