空き家を探す

2023年12月04日
りなぴ

モルックを語る


今や全国規模で有名になったスポーツ、モルック。
つい最近流行り出したようだが、わたしは何年も前から知っていたのだ。

わたしは良くも悪くも多趣味な人間だから、幅広いジャンルの浅〜い情報を無駄に多く持っている。
だからモルックのように結構前から知っていたものが急に流行り出すことはよくあること。
自分がこっそりと好きだったもの、知っていたものが急に流行り出した時、その都度「前から知ってたし!目をつけてたし!」と言っちゃうタイプ。
先駆け感を全面に出しちゃうタイプ。マウント取っちゃうタイプ。非常に面倒臭い。典型的なB型。

まあ、そういうことで、多趣味から拾い上げてきた情報のひとつがモルックだった。

モルックを知ったのは、趣味のひとつであるお笑いからだった。
応援していたある芸人がテレビ番組で趣味がないと相談したところ、先輩芸人から「モルックは面白いし、競技人口が少なすぎるから日本代表になれるかも」と言われたことをきっかけに競技をスタートした。
当時は誰も知らないスポーツで、その芸人はいとも簡単に日本代表となった。

その後もその芸人はモルック世界大会へ参加し、日本代表としてしっかりと使命を果たしてきた。
だが、日本を背負って世界で活躍する彼の姿を、当時はほとんどの人が知らなかった。
もちろん、モルックの知名度もさほど変わりがなかった。
当時からわたしは「面白そうだな、やってみたいな」と思いながら、彼の活躍を見ていた。

その後、その芸人のテレビ出演がどんどん増えると、必ずと言っていいほど“モルック日本代表”の肩書きを紹介されるようになった。
テレビでモルック対決を行ったり、全国大会に密着する番組が放送されたり。

モルックの販売数も増加。
イベントや運動会でも競技として気軽に行われるようになった。

いつの間にかモルックが全国規模のスポーツに変わったのだ。

この芸人を讃えたい。
「モルック日本代表です」と自己紹介して「なにそれ」と笑われていた時代から応援していたわたしには今の状況が夢のようだ。
彼の功績は素晴らしいものだ。彼がモルックを流行らせたのだ。

モルックの話をするには、絶対にしておきたい話だった。



本題はここからだ。
 



前置きが長くなりましたが、
まず何が言いたかったかというと、



世間よりも一足先にモルックの存在を知っていたのに、実は先日、生まれて初めてモルックをしました。
ということです。



(笑)。



すみません。恥ずかしいです。
あんなに自分はモルックのこと知ってる感出しておきながら、一度もしたことがありませんでした。
「そんな奴が昔から知っているマウントとか取るなよ」という意見はごもっともなのでもちろん受け付けます。



今回のコラムは、そんなモルック初体験の話。



それは1週間前。
急に祖母からこんな相談があった。

「モルックの人数が足りんらしくてねぇ。参加してごさん?」

まさか祖母から『モルック』の単語が出るとは思わず、モルックもここまできたか!やったな!と心の中でガッツポーズをした。

「モルックの人数が足りていなくて参加してほしい」以上の情報はなかったが(地域の大会だろうと勝手に思い込んで納得していた)、ずっと前からモルックの存在を知りながらもやったことがないわたしにとっては絶好の機会だった。
予定があったが、調整してまで参加することにした。
 

12月某日。天候は晴れている。が、午後というのに極寒である。
写真の通り、我が子もしっかりと防寒対策。



事前情報はほぼゼロに等しかったが、概ね予想通り、地域のモルック大会だった。
ただ、遠くはとなりまち奥出雲町からの参戦もあった。
これは、モルックの精鋭たちが揃っていることだろう。

ちなみに大会は今回で2回目らしい。
祖母は1回目も参加していた。わたしよりもモルックに詳しい可能性すらある。



モルックを目の前にして気持ちが高揚する。あのモルックだ。

ずっとテレビを通してモルックを見てきたので、ルールはわかっているつもりだ。
テレビで見る度、頭の中でシミレーションもしていた。

自分の中では完璧な状態だった。



参加チームは12チーム。

最初は、4つのグループに分かれ、3チームで交互に投げ合う。
まずはグループ内で順位を競う。

1位のチームは決勝戦へ、2位のチームは4位〜8位決定戦へ、3位のチームは9位〜12位決定戦へ。
3グループ4チームで最終的な順位を競う。

 

ここで、未経験者にもわかるよう簡単にルールを説明しよう。

〜ルール〜
木の棒(『モルック』と呼ぶらしい)を投げて、数字が書いてある12個の棒(『スキットル』と呼ぶらしい)を倒す競技。
スキットルを1本だけ倒した場合、スキットルに書いてある数字が点数となる。
スキットルを1本以上倒した場合、完全に倒したスキットルの本数が点数となる。
スキットルは12までの数字が書いてあるので、12のスキットルを1本だけ倒すか、12本全部完全に倒すと最高得点になる。
投げ合い、先にちょうど50点を獲得したチームが勝利。
ちなみに50点を超えるとドボン。25点に戻り、やり直し。



いよいよ試合が始まった。

わたしはチーム家族で参加。
第1回戦、同じグループの2組はどうやら経験者らしい。

わたしのチームの第1選手は祖母。
モルックのルール上、初めの方に投げる人の方が有利ではある。
第1選手であることはもちろん経験者でもある祖母、そこそこ点数を稼ぐ。

他のグループの選手の第1選手が投げ終わったあと、いよいよ第2選手、わたしの出番だ。
ある程度スキットルも散らばっているので、高得点も狙いやすい。

最高得点の12番のスキットルを狙う。



投げる。



当たらない。



非常に惜しかった。
なんなら当たるコースではあった。
なのに投げたモルックはイレギュラーな方向へ転がり、スキットルを倒すことができなかった。

周りはざわめく。
みんな倒せると思っていたのだ。
これがモルックの面白いところなのかもしれない。

倒せなかったが、初投げはかなり盛り上がった。



そんな感じで何度か投げ、倒したり倒せなかったりを繰り返していたら、別のチームが50点を獲得。

最初のグループ戦は2位という結果となった。
わたしも8点くらいは活躍した。



次は4位〜8位を争うグループの試合へと進む。
 

1回戦目の4グループで2位だったチームが集まり、2位の中で順位を決める。

さすがは各グループの2位が集まっていることだけあり、かなりレベルの高い試合だった。

写真の通り、スキットルがバラついている。
みんなが高得点を狙った結果がこれだ。



今回はわたしもちょこっと活躍。
なんと、11点のスキットルを1本だけ倒すことができた。
これはかなり高得点。家族のみんなはもちろんのこと、敵チームからも「お見事!」と拍手をいただいた。

だが、他のチームはさらにレベルが高い。
作戦も練っていて、相手チームの次の出方まで考えている。
最高得点の12点やわたしと同じく11点の高得点スキットルを単独で狙い、どんどん倒していく。

それに焦ったのか、我がチームのリーダーである祖母は「高得点を倒せ!」という指示ばかり出し、難易度高い高得点を狙うわたしたちは大体外してしまう。
しかも毎回惜しいのだ。倒せそうで倒せない。悔しい。
だが、盛り上がる。わたしたちチームは盛り上げ上手ではあった。



そうやって高得点を狙いすぎたがために、2位グループ戦では最下位で、残念ながら全体8位となってしまった。
まあ、未経験で12位中8位なら良い方なのかな。
 

1位は前回の大会でも優勝したチームだった。
1位グループ戦はさぞかしレベルの高い戦いだったのだろう。
ちょっと見てみたかった。



モルックをやってみて思ったことは、今まで見てきたので何となくできる気がしていたけれど意外とできない。狙ってもうまく狙い通り倒れない。
もしかしたらコツがあるのかもしれないけれど、運とか勘みたいなのも重要なのかな、と。
だから逆に未経験者も楽しめるし、何なら未経験者の方がビギナーズラック的に勝利してしまう可能性だってある。
年代も問わず、誰でも楽しめるのも魅力だ。



念願叶ってやっと実戦モルック。
楽しかったし、悔しかったし、もっとやりたい!

あんなに知った気になっていたのに、実際やってみると奥が深い。百聞は一見に如かず。



と、とにかくモルックについて語りたいりなぴなのでした。



ちなみに大雪でなければ1月にも大会があるらしい。
3人組でエントリーできるので、もし参加したい人がいればわたしまで(笑)。




【ライター紹介】
りなぴ。うんなん暮らし推進課 定住企画員。
松江市出身、愛知県での修行を経て雲南市へ孫ターン。
148cmの身長からは想像できないが、狩猟免許を所持するハンター。