空き家を探す

2025年02月02日
あい

雲タビュー松本さん編(前編)


雲南市の良さってなんだろう?って聞かれたら、いくらでもあるんです。自然も雄大で、春には桜、夏には蛍、秋には紅葉、冬は雪。一年中美しい景色を見ることができるし、おいしい食べ物もたくさんある、行政からの支援も手厚い。

私が雲南市に引っ越してきて丸4年。とりわけ感じるのは人との出会いの素晴らしさです。

もはやあなたの存在が雲南市の魅力では!?と思う方々にたくさん出会ってきました。
今回はこのコラムの趣旨に反するかもしれないんですが、雲南市の素敵な方にインタビューしたものをみなさんにお届けできたらな〜と思って筆を取っております。 雲南市の素敵な人にインタビューしよう!略して「雲(うん)タビュー」の始まりです!(ネーミングセンスのなさを感じますね(笑)。)



 ======



今回「雲(うん)タビュー」を受けていただいたのは、雲南市にお住まいの松本進(77歳)さんです。雲南市に住んでいる人、特に大東町に住んでいる人なら必ず一度は松本さんの作品をみたことがあるはず。どんぐりでかわいい作品を作っていらっしゃいます。

イ=インタビュアー(私)
松=松本進さん
 

息子が通う幼稚園に、松本さんがどんぐり作品づくりの指導に来てくださったご縁で、雲タビューを受けていただくことになりました。



=====



最初は幼稚園に来ていただくことになった経緯や、どんぐり作品に使われる材料などについてお聞きしました。




イ:どういうご縁で、幼稚園に指導に来ていただけることになったのですか?



松:はい、私は、毎年佐世(大東町内の地区のひとつ)の『元気祭り』に出店してて。その時に園長先生がチラッと見て「幼稚園でもしてもらえたらな」いうことで依頼があって。私も「いいですよ」って。子どもさんらが楽しんでやってもらえるとね。私も子どもさんらに夢持たしたろうと思ってね。なんでもないことやけどね、自分ができることやったら、やるよ。
私が金かけてしとんねやったらあれやけど。金かけずにやれる方法はなんぼでもあるから。



イ:それはどういう方法ですか?



松:結局、どんぐり拾ってきて、それでやればいいんやっちゅう話。



イ:全部拾われてきたものなんですか?
息子が幼稚園で作らせてもらった時に使ってた木の実。あれに使われてた実って、なんでしたっけ。なんか名前聞いたんだけど、なんか馴染みがなくて…



松:あれみんな知らんねん。そういう人がほとんど。あれはトチの実。米子(鳥取県)の城のとこでね。取ってきてる。あれはね、いい仕事する。ほんで、中身は、くりみたいなんだ。



イ:食べれるんですか。あ、トチ餅のトチか。じゃあ食べれるんですかね?



松:ああ、そやけどもあくが多いから素人はちょっと難しい。アク取りを2、3回やらなあかんから。
 

松:全部が全部どんぐりじゃないんですよ。
これが椿、椿の実。これが普通のどんぐりで、これ黒豆。これがお茶の種。
これがまたトチの実。



イ:全部材料はこの辺でとれるんですか?



松:うん、この辺だったら、木次の道の駅の向こう側。今ちょっとね、伐採されとるさかいに、さほどでもないけども、そこで一応探したらあります。



イ:例えば、この実をまっくろくろすけにしようとかトトロにしようみたいなアイデアはどっからくるんですか。



松:まあそう…見とって。何かいいことないかとか。って。



イ:なんかピンと来るみたいな感じですか?



松:これは何かな?何かにならんかなっちゅう感じでやるだけで。



イ:拾う時からそうやって考えながら拾うんですか?



松:いや そうじゃなしに、他からかね。うん、他から。どっか行った時に、土産品の中に、こんなやつが書いてあるとか、ああいうとこからまたヒントを頭に入れたりして。
ほんで、この間(幼稚園)みたいに亀と鶴。
 

松:木の実やさかいに、白に塗って、それからモールを。
それから、目にビーズ入れて、目に、うん、そうすると亀と鶴になるんじゃないかっちゅう感じで。
で、これもどっかで見たことがあって、多分頭に入ってたと思う。



イ:どこかで見てたものを記憶から引っ張り出してという感じなんですね!あれはもう正月飾りにぴったりでした。こういう活動はいつ頃からされてるんですか?



松:これ、定年してからやからね5年、6年目ぐらい。



イ:この活動は、仕事か趣味かでいうと?



松:趣味。依頼があったら販売する形で。木次のさくら祭り。それから明石緑が丘公園の蘭祭りと、それから色々と。



=====



みなさんもここまで読まれて、すでにお気づきかと思うんですが、実は松本さんもIターン者!約50年前に奥様のご実家である雲南市に移住されていたのです。私たちIターン者の大先輩です。




イ:松本さんはもともとは島根の方じゃないですよね?



松:そうそう。大体そう言われるわ。島根の言葉でしゃべらへんからね。
私は関西人。関西の滋賀。それから仕事で京都の宇治に15年。で、それから、こっちに。



 イ:それは何でですか?



 松:私が28か29歳の時に、オイルショックで会社の人員整理があって。会社としては年配の人をと思っとったみたいやけどね。
妻が姉妹で、実家の後継がおらんから、ちょうどいいわって会社辞めて、こっちに。
会社には「なんでお前が!」って叱られたけどね。



 イ:宇治から雲南に引っ越してきて大変じゃなかったですか?こっちは宇治と比べて不便じゃないですか?



松:一緒や。私の田舎も同じようなもん。陶器で有名なとこ。『信楽焼』。あそこが私の里。



 イ:そうなんですね。そういうものが小さい頃から周りにあったってことですよね?
今の物作りに繋がっていたりするんですか? 



松:ないない。たまたまやね。父親が商売とお花の先生をしとった。 それでやね。
盆栽とか。菊とか。菊は大阪の枚方の賞に出品して、天皇陛下の賞をとったりね。
母親も編み物が好きで。私のチョッキとか編んでくれたりとかね。
それで私の基礎ができとる。



イ:地元に帰りたいという思いはないですか?



 松:うん。それはない。こっちに来るときにそういうのはばっさり切ってきたから。
まあ父親は色々あったみたいやね。父親のお花の先生仲間に「あんたのお父さんに会ったら、あんたの話ばっかりだったよ」って。葬儀の時にそうやって聞いてね。  1番近くにおったからね。
妹は同じ町内におったけど、他のもんは姫路とちょっと岐阜におったから。で、私が宇治におったからね。30分くらいで行けるようなとこやったからね。それがぽんと、こっち(雲南)にね。



イ:お父さん寂しかったんですかね。



松:そうだと思うわ。葬儀で聞かされてね、初めてわかった。



=====



松本さんの作品に関する工夫も教えていただきました。





 松:子どもが触っても簡単には取れんようになっとる。
うん、これ、そういう風に。(作品をブンブン振り回す松本さん(笑)。)
こういうの、基本的には取れない。みんな刺してるから。
 

松本さんの作品は、どんぐりなど木の実に穴を開けて細い棒を刺して、その反対側を土台にも刺して、簡単には取れないようになっているんです。

穴が開けられないような小さい実は、土台を少しくぼませて、そこに接着剤を流し込んで実と土台との接着面が広くなるように工夫されています。




イ:なんでそんなことをしようと思われたんですか。



松:1番初めに妹がカズラをリースみたいにして、そこにどんぐりをつけとって。
私が通るたびにぽろっと落ちたから、これはもったいないと思って、穴開けてちょっと修正しちゃれと思ってそうしたら、妹が それがいいなってなって。
で、それを見た人の中に、ちょこちょこと自分で販売してる人がおって、その人が「あんたも販売してみたらいいわ。」って。
ちょっと行ってみっかいって。 今はもうなくなったけど、出雲市駅で毎週日曜日に無料で参加できるイベントがあって、販売はそれからだね。



=====



材料の中に面白いものを発見しました!
 

イ:これもご自身で穴を開けられるんですか?



松:これ、あんたわからんでしょ。これね、横田(奥出雲町)のそろばんの玉の抜いたやつ。
それを分けてもらって、んで、これなんかならんかな?と思って、コーヒーの豆つけようかなと思った。
でもコーヒー豆、その辺で売ってるのってもうみんな粉になってもうてて。
専門のとこ行ったら、高いやん。うん、これ、ちょっと待てよと思って、これで変わるもんって思って、黒豆だったらいいわと思って。



イ:こういうアイデアも面白いですね。まっくろくろすけのお家みたいですね。



松:こうして寝かしてコースターみたいなんだけやったら大したことないわ。それをちょっと起こしてみて。 そしたら、意外としてみたら良い評判。



イ:はい。かわいいです!  



=====



 前編はここまでです。長文にお付き合いいただき、ありがとうございます。後編は松本さんの人に対する熱い思いも語られています。ぜひ後編もお読みいただけると嬉しいです。
※最初の写真の作品ですが、インタビューの時に松本さんがお持ちくださったものです。そして、最後にいただいちゃいました!(笑)。



 
【自己紹介】
あい。広島→京都→雲南市(2021年より)
毎日を楽しく過ごしたい2児の母。
教育関係のお仕事をしています。