空き家を探す

2025年08月21日
たにべえ

れじ





レジのレーンに当たりとハズレがあると母親に教わったのは5歳のころだった。


「ピッ」が早いおばちゃんと、マイペースなおばちゃんがいて、


母親は死ぬほどせっかちなので、各レジのおばちゃんのスピードを把握していて、


間違ったレーン(マイペースなおばちゃんレーン)に並んでいると「そっちじゃない。」とよく言われたものである。


近頃はセルフレジが導入されて、


レジのおばちゃんの存在に改めて感謝する人も少なくないのではないだろうか。



セルフレジといえば


やれ「台座から手を放せ。」


とか


「いま袋に入れた商品を、袋から出してください。」


とか


慣れていないとこっちのペースでスイスイできないことも多々ある。


そんなとき、


「ちょ~っと失礼しますね~。」って感じで、


従業員専用の『最強のカードキー』みたいなのを持って登場するおばちゃんは、もはやセルフレジを司る女神である。



最近は『レジゴー』みたいな買い物かごに入れる際にバーコードをスキャンしていって、


最後にゲートみたいなところを通るだけで、会計がセルフレジに転送されるというお店も増えてきた。


しかし、もちろん雲南市内にはそんなスーパーの方が少ない。


まだまだ人力。人手は不足しているが、人力で温かみがある。気がする。




混んできたら「レジ応援、お願いします。」である。





今日はそんなレジに関わるコラムです。






※ほんとにいつもくだらないことばかり書いてごめんなさい。












打つのもカゴ詰めもゆっくり。都会人なら軽くイライラするスピードだ。






その日の僕はいつものごとく、せわしなかった。






そんな様子を察する気配は全くなく、突然におばちゃんが発した言葉に驚いた。




「いつもありがとうね。」



しっとりとした口調のおばちゃん。



いや、おばちゃんのレーンに並んだのははじめてやで。








だって、こんなに遅いって知ってたら並ばんからな。




と、心の中で乱れる自分を抑え


「うっす…。」とだけ返す。はよしてくれ。



続けておばちゃんが話始めた。





「あのね、ポイントカードをね、作ってもらったらポイントがつくしね…。」




あーなるほどな。



ポイントカードの案内もしながらレジ打ちか。大変そう。





続けてポイントカードの説明をしてくるおばちゃん。






レジのスキャンの音で何を言ってるかあまり聞き取れないくらいに声が小さい。




「袋1枚ください。」



すかさず割って入る僕。せわしないのと、地球に厳しくて申し訳ない。






「ポイントを買い物に使えるのも最近では珍しいんでね…。」




続けるおばちゃん。






「そんなことないやろ。」と言いそうになる。



ポイントは、だいたいどこも買い物に使うために付けてくれるんやで。





逆にどんなポイントカードをお持ちなのか気になるレベル。













「ほんとにお得なんでね…。」






まだ言うか。おばちゃんの指図は受けぬ。
※元ネタは"もののけ姫"のサンが言うやつです。








「はい、はい…はい。」と無愛想に続ける僕。









「ほんまにお得なんでね…。今日なんかはポイントも倍つくからね…。」







結構おばちゃんも頑張る。
もうなんなら作ってあげようかな、とまで思いはじめた。







そんなカリカリすることでもないし、たまにこのスーパー来るし。









作り方も簡単なはず。多分あとでネットとかで情報入力するくらいのもんやろ。









おばちゃんも頑張ってるし、めっちゃ案内してくれたしな。






田舎に暮らしているとカリカリしていても、ちょっと優しい気持ちになりやすい気がする。










とか思っているとおばちゃんのレジが終わった。









「では、お会計が…○○円になります。」







「え?」
































こんなにポイントカードを作る気持ち作っといて作り方教えてくれないの。マジか。


どこで説明終わっとるん。そして何の時間やったんや。それならレジ打ちに特化してほしかった。いい加減にしてほしい。


むしろこれまでの説明も何。何のための説明。毎回こんなんやってたらお客様困惑の嵐よ。

わからん、わからん、わからんておばちゃん、むずいって…。




















会計の準備をする僕。てか袋つけてくれてないやんけ。




「袋代、入ってます?」




「あはは!ごめんなさい!」






「ポイントカードのことに夢中で!!」と言わんばかりのチャーミングが炸裂。



今チャーミングは一番いらない。おばちゃん。




僕の優しい気持ち返して。













ここで、ひとつの疑惑が芽生える。






もしかして、このカードは実在していないんじゃないか?





スーパーに来る人は全員、その存在を信じているだけなのでは……?





もしかしたらおばちゃんは、田舎の時間の遅さと同じく、都市伝説を生きているのかもしれない。





遅くても、説明がなくても、何もかもが“まあいいか”と思える空気。








効率よりも、人の温度や笑顔が大事。









伝説のポイントカードは作れないけど、心はほっこり。






田舎のスーパーって、こういう謎と温かさの混ざった場所なのだ。















はい。ということで、最後の★から★のところは『Chatgptくん』に考えてもらいました。
(最初の画像もAI丸出しでごめんなさい。)



怒り任せにコラムを書いていて、いい感じに締めが見つからないというコラムになりそうだったのでね。







何が「心はほっこり」じゃ。








「謎と温かさの混ざった場所なのだ。」じゃないわ。



むしろ謎しか残らんわ。











追伸

母へ


やっぱりレジは打つのが早いおばちゃんのレーンに並ぶのが正解のようです。
5歳からの教えを破ってえらい目に遭いました。今後は徹底して教えを守ります。
僕は元気に田舎で暮らしているので安心してください。





おわり。


【ライター紹介】
たにべえ。元転勤族。
2019年広島から雲南に移住。
田舎って変だなぁと思ったことを文章にしています。