空き家を探す

2023年02月06日
りなぴ

鳥獣害被害マップアプリ『うんなんケモナビ』


こちらのコラムでもしつこいほど獣害対策に取り組んでいるよ!っていう話をしてきましたが、今回、なんと、新たな挑戦を始めました!!!


それは!!!



『鳥獣害被害マップアプリ』の作成です!!!!



といっても、わたしはITに強い人間ではなく、もちろんプログラマーでもなく、アプリを開発する力など全くもってありません。
今回はなぜ鳥獣害被害マップアプリを作成するに至ったか、どんなアプリなのか、そんな話ができたら。
 

わたしは移住定住の仕事の他に『地域自主組織』という組織のお仕事も少しだけやっています。

※『地域自主組織』とは
雲南市をさらに30の地域に分け、福祉・防災・教育などそれぞれの自主組織が主体となって事業をおこなっています。
これについて話すと長くなるので、また後日。

わたしの地域の自主組織では5つの軸を中心とした事業を行っています。
そのひとつが『みんなでできる鳥獣害対策』です。



鳥獣害対策。都会に住んでいるとピンとこないかもしれません。



移住希望者が憧れる里山の美しい景色は、その地域に住んでいる皆さんが畑を耕し、稲を耕作し、日々の草刈りを行って守られている景色です。

でも、畑や田んぼを管理する人は年々高齢化していき、人数もどんどん少なくなっています。

それでも農ある暮らしというものは、高齢者の皆さんの生きがいでもあり、楽しく耕作されている方が多いです。

そんな農ある暮らしに襲ってくる奴らが害獣です。

鳥獣害を受けた方の中では「もう農業をやめる」と考える方も多いです。

鳥獣害によって農業という高齢者の生きがいを奪う。
そして農業をしなくなった人が増えた地域の景観は荒れてしまう。

鳥獣害がもたらす被害は、ただ農作物被害があるだけじゃない。



わたしの地域では自主組織が行ったアンケートで、鳥獣害対策に一番の不安を感じているという結果が出ました。
驚いたのは、農業をしている世代以外にも、10代・20代すら鳥獣害対策に不安を感じているという結果が。

なんとかしたい、だけど、害獣を駆除してもしてもしても現れる。いたちごっこ。

この地域でやるべきことは、害獣を駆除することよりも、害獣がいても農業ができる環境にすること。
猟師さんだけじゃなくて、みんなでできる対策をやること。



前置きがとっっっっても長くなりましたが、そんな流れがあり自主組織の事業の一環で竹マルチをやったりしてみていました。

↓竹マルチの過去記事↓
①農業をしていない私が雲南で狩猟をする意味を考える。その2
②竹マルチでのサツマイモ栽培
③竹マルチ最強説を唱えたい。
④今年も竹マルチでサツマイモ栽培
⑤竹マルチの集大成


……竹マルチのこと、コラムで取り上げすぎじゃないか、ワタシよ。

こんな感じで地道な活動を続けていたのが徐々に伝わっていったのか、雲南市のNPO法人おっちラボさんに声をかけてもらいました。
「鳥獣害被害がわかるようなアプリを作ろうと思うんだけど、協力してくれませんか?」と。

わたしの地域をモデル地区に、アプリ開発に向けての意見交換や試験運用を行いました。

そして!冒頭でもありましたように、新たな挑戦として10月より本格運用が開始しました!!!
その名も『うんなんケモナビ』です!!!
 

どのようなアプリかというと…
害獣を目撃したり、猟師さんが捕獲した時、アプリに場所や時間、害獣の種類などを入力するとアプリ上の地図に更新され、リアルタイムで鳥獣害情報をキャッチできるという仕組みです。
現在70件以上の目撃・捕獲情報が登録されています。

この「リアルタイムで鳥獣害情報をキャッチできる」というところが重要で、今までリアルタイムでの情報って害獣にGPSつけるとか、わなに監視カメラつけるとか、個人でするしかないしお高いし…というところだったので、こうやって地域ぐるみでリアルタイムに情報収集できるのは大きい功績だと感じています!

猟師的な目線では捕獲する際に目撃情報を参考にすることができるし、子どもを持つ親目線では子どもの通学路に害獣が出ていないか確認することができます。
農家さん目線だと、リアルタイムの情報を確認してもらえば、その害獣に合わせた対策ができるかな、と。サルなら煙火を打ち上げる、イノシシなら電柵の電流が流れているか確認するなど。

イチ住民としても、今日家の近くにクマが出ている!なんて情報見たら、今日は散歩控えようかな…とか思えるので安心ですよね。

どんどんマップ上に情報が溜まっていくと、「イノシシはここから出てきているな〜」とか「サルはあの山の次はこの山に移動している!」とか害獣の動きが読めるようになっていきます。実に面白い。

運用して何ヶ月か経ちましたが、住民さんが「農業も狩猟もしていないから今まで意識していなかったけれど、マップを見ているだけでも面白いし、意識が変わった」と言ってくれたことも功績のひとつだと感じています。
 

そんな『うんなんケモナビ』ですが、新年を迎えさらに新たな挑戦を始めました。

内閣官房が主催する『冬のDigi田甲子園』に応募したところ、応募総数172件の中から事前審査を通過し、インターネット投票に進める47件へ選ばれました!

※『冬のDigi田甲子園』とは
企業や団体など民間分野の幅広い主体を対象として、デジタルの活用により、地域の個別課題を実際に解決し、住民の暮らしの利便性と豊かさの向上や、地域の産業振興につながっている事例を募集し、優れた事例を表彰する企画です。

まだインターネット投票中ではありますが、172件の中から選ばれたということは、わたしたちがやってきた取り組みに自信を持っていいと太鼓判を押してもらえたようでとても嬉しく思います。



そしてここからは図々しいですがお願いです。

もしコラムを読んでいただき、「いい取り組みだな」と思っていただけたら、ぜひ投票をお願いしたいです…!
あくまで読んでいただいて「いいね!」と思ったらです!思わなかった場合はいいんです。まだまだ力不足な部分もありますから。
他の取り組みもぜひ見てもらって、自分が一番「いいね!」と思った取り組みへ投票してください。参考になるものばかりです。

■「うんなんケモナビ」説明サイト
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/koshien_winter/0012.html
↑是非、紹介動画もご覧ください!

■投票ページ
https://www.cas.go.jp/digidenkoshien_winter.html
↑エントリーNo.12「雲見の里いいし」の「うんなんケモナビ:鳥獣対策アプリ」が対象です!

2月24日まで投票可能です。


今後、このアプリで得た情報をどう活用していくかが課題です。まだ模索中。
情報の活用も検討しながら、より良いアプリへと改善していき、いずれは雲南市全域でうまく活用されていくといいな〜。



獣害の話になるといつも長くなってごめんなさい。
熱い思いが溢れてしまって。。。

こうやって素敵な機会もいただけたので、今後も地域の鳥獣害対策に力を入れて取り組んでいきたいです!




【ライター紹介】
りなぴ。うんなん暮らし推進課 定住企画員。
松江市出身、愛知県での修行を経て雲南市へ孫ターン。
148cmの身長からは想像できないが、狩猟免許を所持するハンター。